貝ではなく、殻である。
「貝さん、今日は遅いじゃないですか」
茶葉太郎が少しだけ高いトーンで
声を出した。
座席の隣に座っている中年サラリーマンを
起こしてしまったようだ。
「いやー最近障害が多くてね。
困っちゃいますよ」
「ああ、△△銀行さんのシステムに
携わってるんでしたっけ?」
「そう。
最近は新しくジョブインした人もいて、
指導役を任されているんですよ。
経験豊富だって言ってんで
気を抜いてたら、
シェルの扱いすら知らなくて
苦労してます」
貝俊夫のうなだれた具合から、
疲れた感じが伝わってくる。
「シェルですかあ。
私はあまり触ったことないからなあ。
そもそも言語でしたっけ?」
「ええとですね・・・」
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シェル(Shell)とは・・・
コマンドインタプリタ。
つまり、
何らかのコマンドを入力することで
動くプログラムのことです。
シェルとは日本語で「殻」の意で
OS(カーネル)と
アプリケーション(ユーザ側)の
間に立って、
OSを包み込むことからきています。
包み込むというと
イメージがしづらいと思うのですが、
ユーザが直接OSに触れることで、
致命的なエラーが起こることを
防ぐための殻=シェルとお考えください。
シェルが解釈できるコマンドを
並べたファイルを
「シェルスクリプト」と呼びます。
「シェル」と「シェルスクリプト」の
違いが判らないと初心者扱いされるため、
要チェックです。
<<「Helloworld」と表示する
シェルスクリプトを動かした時の動きは
こちら>>
難しそうに見えるかもしれないですが、
他の言語と比べて
複雑処理はないので難易度は低め。
コマンドを積み木みたいに
積み上げていくようなイメージです。
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「って感じですかね・・・」
(疲れている貝さんに、
詳しく話をさせてしまった。。。)
茶葉太郎は慌てて、
「よ、よくよく考えたら、
OSがしっかりしてくれないと、
Javaとか、どんな言語で作った
アプリケーションも
動かないんですよね。
そう思ったらシェルの重要性が
分かるような気がします」
「まあ仕事していると、
あんまそんなこと考えないけどね」
貝俊夫は笑ってごまかしていたが、
少し誇らしげに感じているようにも
見えたので安心した。
その後2人は、
「パワフルな小保留花子が
最近かわいこぶっている」など、
どうでもいい話をしていた。
「それでは、
私はこの駅で乗り換えなので」
「お疲れ様です、今度飲みましょうね」
貝俊夫は電車を降りて行った。
疲れていた貝が、
少しでもいい方向に向かえばいいなと、
茶葉は心の中で思っていた。
(つづく)
(K)